海洋散骨は故人のご遺骨を海に還すことができる供養方法です。
この方法は伝統的な墓地とは別の形で故人を偲ぶことでき、自然と一体となることができるとして注目されています。
しかし、海洋散骨にはメリットだけでなくデメリットもあります。
大切な故人を後悔のない形でお見送りするためにもメリット・デメリットの両方を理解しておくことが大切です。
そこで、ここでは海洋散骨のメリット・デメリット、散骨をする前に知っておくべきことなどを解説します。
散骨とは
散骨とは、故人を自然に還すことができる供養方法です。
火葬をした後にご遺骨を粉骨(ご遺骨を粉状にすること)し、海や山や空などの自然に散布します。
海洋散骨とは
海洋散骨とは、故人を海に還すことができる供養方法です。
船やボートで沖まで出て、海にご遺骨を撒くという方法で行われます。
自然を愛していた故人の思いを叶えたい、ご家族の負担を減らしたいという理由で行われることが多いです。
海洋散骨の方法
海洋散骨の主な方法は以下の3つです。
ここでは、それぞれの特徴と費用相場を紹介します。
貸切散骨:10万円~50万円
貸切散骨とは、ご家族や友人だけで船を貸し切って散骨をする方法です。
船の上で他のグループと一緒にならないので、プライバシーを守りながら故人を静かに偲ぶことができます。
合同散骨:7万円~30万円
合同散骨とは、複数のグループが船に乗ってそれぞれ散骨をする方法です。
大人数で船に乗って散骨をするため、貸切散骨よりも費用を抑えることができます。
代行散骨:4万円~10万円
代行散骨とは、業者に散骨を代行してもらう方法です。
遠方に住んでいる場合や忙しくて散骨式に参加できない場合に選ばれます。
3つの方法の中で最もコストがかかりません。
海洋散骨のメリット
海洋散骨のメリットは数多くありますが、ここでは主なメリットを3つ紹介します。
費用を抑えることができる
海洋散骨は、伝統的な墓地と比べて大幅に費用を抑えることができる方法です。
従来のお墓は墓石・墓地の購入費だけでなく使用料や維持費を払い続ける必要があります。
しかし、海洋散骨の場合は、散骨式と粉骨にかかる費用のみ必要で、長期的なコストがかかりません。
家族や子どもの負担を減らせる
海洋散骨は、家族や子どもにかかる負担を大幅に軽減することができます。
従来のお墓の場合、定期的な清掃やお墓参り、維持管理費の支払いなどが必要ですが、海洋散骨の場合、そのような手間がかかりません。
仕事や家事、育児に忙しい家族や子どもの迷惑になりたくない、という理由で生前に自分の海洋散骨を予約する人も増えています。
自然環境に優しい
海洋散骨は故人を自然に還すことができる供養方法なので、環境への影響が少ないと言われています。
化学物質を使わない自然な方法であることはもちろん、土地を利用しないということも環境に優しいと言われる理由の一つです。
故人の遺志を尊重しながら自然も配慮できる環境に優しい供養方法だと言えます。
海洋散骨のデメリット
海洋散骨のデメリットは数多くありますが、ここでは主なデメリットを3つ紹介します。
ご遺骨が手元からなくなる
海洋散骨の最も大きなデメリットは、ご遺骨が完全に手元からなくなってしまうということです。
一度撒いたご遺骨は元に戻すことができません。
お墓や納骨堂の場合は、その場所に行けばご遺骨があるという安心感がありますが、ご遺骨が全くないと思うと寂しさを感じる人も多いようです。
全てのご遺骨が手元からなくなるのは嫌だという方は、一部のご遺骨を手元供養することをおすすめします。
墓参りする場所がない
従来のお墓の場合、お墓に行ってお参りをすることができますが、海洋散骨の場合、特定の場所にご遺骨が存在しないため、お参りする場所がありません。
故人に会うために訪れる場所がないことは、多くの人にとって受け入れがたいものです。
海洋散骨をする場合は、事前にお参り方法をどうするか検討しておくと良いでしょう。
家族に反対されることがある
海洋散骨は比較的新しい供養方法なので、伝統的なお墓のスタイルを好むご家族から反対されることがあります。
供養についての考え方は家族間でも異なる場合が多いので、家族それぞれの考えをしっかりと聞き、みんなが納得できる方法を選びましょう。
海洋散骨をする前に知っておきたいポイント
ここでは、海洋散骨をする前に知っておくべきポイントをいくつか紹介します。
海洋散骨を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
親族間でしっかりと話し合うことが大切
海洋散骨を行うことに関しての考え方は家族間でも大きく異なります。
お墓参りをどうするか、そもそも先祖代々あるお墓はどうするのか、相続はどうするのか、など話し合うべき問題も多いです。
海洋散骨を行う前に、このような問題についてしっかりと話し合い、みんなが納得できる方法を選びましょう。
散骨自体は法律違反ではない
散骨を行うことが法律違反になるのではないか、と心配される方が多いですが、散骨を行うことは法律違反になりません。
しかし、そのやり方や方法を間違えるとトラブルに発展してしまうことがあります。
業者を通さずに個人で散骨を行う場合は、散骨のルールや場所選びに注意が必要です。
粉骨をしよう
散骨をするご遺骨は事前に粉骨しておく必要があります。
粉骨とは火葬後にご遺骨を粉状に砕く作業のことで、業者に作業を依頼することもできます。
粉骨をしていないご遺骨を自然に撒く行為は、法律違反になる可能性があるので、散骨前に必ず粉骨をしておきましょう。
自分で粉骨をすることも可能ですが、思っているよりも作業が難しく、しかも精神的な負担が大きいので、できるだけ業者に依頼しましょう。
散骨場所に注意しよう
散骨をする場合は、その場所選びに注意しましょう。
散骨場所はどこでも良いと
いうわけではなく、その土地や地域のガイドラインやルールで禁止されていたり許可が必要だったりすることがあります。
散骨場所を間違うと後にトラブルになる可能性もあるので、個人で散骨を行う場合は事前に市役所などに行って散骨が可能な場所を確認しておきましょう。
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手元供養という方法もある
散骨後にご遺骨が全てなくなってしまうのが寂しいという方は、一部のご遺骨を手元に置いておく手元供養を選択するのがおすすめです。
手元供養であれば、お参り場所に困ることもなく、いつでも故人を感じることができます。
業者に依頼するのがおすすめ
散骨は個人でも行うことができますが、できるだけ業者に依頼しましょう。
専用業者は散骨のルールやマナー、散骨場所についての情報に詳しいため、業者に依頼すると後にトラブルが起こる可能性を減らすことができます。
散骨式当日もスムーズな流れで故人をお見送りでき、ゆったりとして気持ちで故人を偲ぶ時間を持てます。
海洋散骨のマナー
海洋散骨にはいくつかのマナーがありますが、ここでは主なマナーを3つ解説していきます。
散骨式は喪服で出席しない
海洋散骨は喪服での出席は避けましょう。
海洋散骨は普通の船乗り場から出航することが多いため、喪服の集団がいると、周囲の方に驚かれることがあります。
また、船の上は滑りやすく揺れるので、ヒールや革靴などの靴は向いていません。
落ち着いた色合いで、動きやすく、温度調整しやすい平服を選びましょう。
自然に還るものだけを海に撒く
海洋散骨では、献花や献酒を行うことがあります。
しかし、海という自然の場所に撒くので、自然に悪影響を与えない形で行うことが大切です。
例えば、献花であれば花びらのみを撒く、献酒であれば色つきのワインなどは撒かない、など自然に配慮した形で行いましょう。
沖合で行う
海洋散骨は、浜や橋の上などから行うのではなく、船で沖合まで行って行うようにしましょう。
海水浴場や漁場の近くで散骨をすると周辺住民とのトラブルになることがあるので、注意が必要です。
できるだけ海洋散骨専門業者に依頼して、トラブルにならないポイントで行うようにしましょう。
信頼できる散骨業者の選び方
海洋散骨を業者に依頼する場合は、業者選びが大変重要です。
そこで、ここでは信頼できる海洋散骨業者を選ぶ際のポイントを3つ紹介します。
複数業者で相見積もりを取る
海洋散骨業者を選ぶ際には、複数の業者で相見積もりを取るようにしましょう。
複数の業者で見積もりを取ることによって、海洋散骨の一般的な費用相場や流れを知ることができます。
基本的な情報を知っておくことで悪徳業者にだまされる可能性も減らすことが可能です。
評価や口コミを参考にする
信頼できる業者は評判や口コミが良い可能性が高いです。
実際にその業者で散骨をした方からの口コミや地域の方からの評判は大変参考になります。
業者の対応、コミュニケーション力、散骨式当日のスムーズさなど、気になるポイントを確認しておきましょう。
コミュニケーションできる業者を選ぶ
見積もりの段階で業者の方と話した時に、コミュニケーションが取りやすいかどうかを確認しましょう。
ご家族の意向を丁寧に聞き、故人のご遺骨を丁寧に扱ってくれる業者を選ぶと安心です。
一部の悪徳業者はご遺骨の扱いが雑で信用できない場合も多いので、実際に会ってみた時に良い印象を持った業者を選ぶようにしましょう。
まとめ
海洋散骨は最近注目されている新しい供養方法です。
費用が安く、家族や子どもの負担を減らせるなどメリットがありますが、お墓参りの場所がない、家族に反対されやすいなどのデメリットもあります。
メリット・デメリットの両方をしっかりと理解して、海洋散骨を選択するかを決めましょう。
海洋散骨をすることを決めたら、そのルールや気を付けるポイント理解しておくことも大切です。