散骨は故人を自然に還すことができる供養方法です。
自然が大好きだった故人を偲びたいというご遺族から大変注目されています。
しかし、その手続きや申請方法について詳しく知らないという方も多いでしょう。
そこで、ここでは散骨に必要な手続きや申請方法、必要書類や準備しておくべきものについて紹介します。
散骨に興味がある方、散骨で故人をお見送りしたいという方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
散骨とは
散骨とは、故人を自然に還すことができる供養方法です。
具体的には海や山や空など故人が愛していた場所にご遺骨を撒きます。
散骨は業者を通さず個人で行うことも可能ですが、場所の選定や細かなルールがあるため専門業者に依頼して行うのがおすすめです。
散骨は法的にOKな供養方法?
日本において散骨は違法ではありません。
しかし、そのやり方を間違えると法律違反になる可能性があるので注意が必要です。
例えば、粉骨していないご遺骨を撒いた場合や条例で禁止されている場所に散骨した場合は法律違反となることがあるため、特に個人で散骨をする場合は事前にしっかりとルールを調べておきましょう。
散骨には法的な手続きが必要?
散骨をする際に法律的な手続きは必要ありません。
その理由は日本において散骨に関する明確な法律がないためです。
しかし、一部の自治体では条例やガイドラインで散骨が禁止されていたり、申請が必要だったりする場合もあるので、事前に自治体への確認を行いましょう。
散骨をするなら粉骨をしよう
粉骨とは、ご遺骨を細かく砕いて粉の状態にすることです。
粉骨せずにそのままのご遺骨を撒くことは法律で禁止されているため、散骨を行う際は必ず粉骨を行いましょう。
<粉骨をする方法>
- 自分で行う
- 専門業者に依頼する
- 散骨業者に依頼する
散骨は自分で行うことも可能ですが、精神的に辛いという理由でできない方も多いので業者に依頼するのがおすすめです。
【状況別】散骨に必要な手続きや申請方法
基本的に散骨には法的な手続きは必要ありません。
しかし、業者を通して散骨する場合は業者との手続き、墓じまい後に散骨する場合は墓じまいに関する手続きなどが必要になります。
そこで、ここでは状況別に必要な手続きについて簡単に紹介していきます。
火葬して自宅で保管していたご遺骨を散骨する
火葬後、自宅などで保管していたご遺骨を散骨する場合の流れを紹介します。
1.業者を選定する
まずはどの業者に散骨を依頼するか決定します。
業者を選ぶ際には、複数の業者で見積もりを取り、散骨ができる場所・プラン・費用などを比較して決めましょう。
2.必要な書類を集める
業者に散骨を依頼するために必要な書類を集めましょう。
ちなみに、契約に必要な書類は業者によって異なるので詳しくは見積もりの際に業者に確認しておくのがおすすめです。
3.業者と契約する
どの業者に依頼するかが決まったら正式に契約をしましょう。
4.粉骨をする
散骨をする前には粉骨しておく必要があるので、忘れずに行いましょう。
粉骨は自分でもできる作業ですが、精神的に辛い作業になるため業者に依頼するのがおすすめです。
散骨業者に粉骨も依頼するとスムーズに進められます。
5.散骨をする
全ての準備が整ったら散骨を行います。
墓に埋葬されているご遺骨を取り出して散骨する
墓じまいのために一度埋葬されたご遺骨を取り出して散骨したいという方も増えています。
この場合は、墓じまいに関する手続きが必要なので、ここで簡単な流れを確認しましょう。
1.墓じまいや散骨について親族間で相談する
まずは、墓じまいや散骨をすることについて親族間でしっかりと話し合いましょう。
供養についての考え方は一人一人違うので、相談してから決めることが大切です。
2.お墓の管理者に墓じまいしたいことについて相談する
墓じまいや散骨をすることが決まったら、次はお墓の管理をしている寺院や施設の方に墓じまいについて相談しましょう。
管理者に相談せずに勝手に決めると後のトラブルの原因となることがあります。
ただし、寺院によっては墓じまいを反対する場合もあります。
その理由は墓じまいをすることは離檀することに繋がり、それは檀家が減ることを意味するからです。
檀家が減ると寺院の収入が減ることにつながるため、墓じまいを反対する寺院も多いようです。
1.墓じまいを依頼する業者を選ぶ
墓じまいをすることについてお墓の管理者から同意をもらえたら、墓の解体・撤去を依頼する業者を決めましょう。
墓の解体は特殊な技術や作業が必要なので、墓専門の解体業者に依頼することが大切です。
複数の業者で相見積もりを取ってから信頼できる業者を選びましょう。
2.自治体で必要な手続きをする
改葬(墓じまい後に新しい墓や納骨堂にご遺骨を納めること)を行う場合は、改葬許可証という書類が必要になります。
この書類はお墓がある自治体で発行できますが、散骨は改葬に当てはまらないとして発行してもらえないこともあるので、事前に自治体に確認しておきましょう。
3.開眼供養をする
開眼供養とは、お墓にある故人の魂を抜くという作業のことです。
お墓の解体・撤去をする前に行う必要があります。
開眼供養についてはお墓の管理者に相談しましょう。
多くの場合、お墓を管理している寺院の僧侶が行います。
4.墓の解体工事をする
開眼供養ができたらお墓の解体工事を行います。
解体工事の際に故人のご遺骨を取り出しますが、この作業は業者の方かお墓の管理者に任せるようにしましょう。
5.散骨業者を依頼する業者を選ぶ
墓じまいが無事終わったら、次に散骨を依頼する業者を選びましょう。
散骨業者を選ぶ際には、複数の業者で見積もりを取り、散骨場所、プラン、料金などを比較して決定するのがおすすめです。
業者によって必要な書類も異なるため、業者を決めたら必要な書類についても確認しておきましょう。
6.粉骨する
散骨をする場合は粉骨しておくことが不可欠です。
粉骨していないご遺骨を撒くと、法律違反になる可能性があります。
粉骨を専門で行っている業者もありますが、散骨業者が粉骨も行っていることが多いです。
散骨を依頼する業者で粉骨ができるかどうかも確認しておきましょう。
7.散骨をする
準備ができたらいよいよ散骨を行います。
散骨に参加する場合は、業者の方の指示に従うようにしましょう。
散骨にはいくつかのマナーがあるので、業者の方に事前に確認しておくのがおすすめです。
施設で保管されていたご遺骨を散骨する
火葬後に納骨堂や寺院などで保管されていたご遺骨を散骨する場合の流れを紹介します。
1.保管先に連絡する
納骨堂や寺院に保管されている場合は、保管先に連絡してご遺骨を持ち帰りたいということを伝えましょう。
その際に、必要な書類や手続きについても聞いておくと安心です。
2.施設や寺院からご遺骨を受け取る
保管先からご遺骨を受け取り、自宅などで保管します。
3.散骨業者を依頼する業者を選ぶ
ご遺骨を受け取ったら、次に散骨を依頼する業者を選びましょう。
散骨業者を選ぶ際には、複数の業者で見積もりを取り、散骨場所、プラン、料金などを比較して決定するのがおすすめです。
業者によって必要な書類も異なるため、業者を決めたら必要な書類についても確認しておきましょう。
4.粉骨する
散骨をする前に粉骨を行いましょう。
粉骨していないご遺骨を撒くと、法律違反になる可能性があります。
粉骨は自分で行うのはハードルが高い作業なので、できれば業者に依頼するのがおすすめです。
5.散骨をする
粉骨ができたら散骨をしましょう。
散骨をする際に必要な書類
基本的に日本では散骨をするために自治体への提出が義務付けられている書類はありません。
しかし、散骨を業者に依頼する際にはいくつかの書類が必要になることがあります。
ここでは、お亡くなりになられてから散骨までに必要になることが多い書類を紹介していきます。
書類名 | 概要 | 発行できる場所 |
---|---|---|
火葬許可証 | 火葬する際に必要な書類 | 市役所 |
火葬(埋葬)証明証 | ご遺骨を埋葬する際に必要な書類 | 火葬場 |
改葬許可証 | ご遺骨を別の場所に移す際に必要な書類 | 現在ご遺骨がある地域の市役所 |
火葬許可証
火葬許可証とは、お亡くなりになられた方を火葬する際に必要な書類です。
市役所に死亡届を提出すると受け取ることができます。
また、この書類は火葬が終わると「火葬(埋葬)証明証」として火葬場から返却されます。
火葬(埋葬)証明証
火葬(埋葬)許可証とは、ご遺骨を埋葬する際に必要な書類です。
火葬前に提出する火葬許可証が火葬後に火葬(埋葬)証明証となって返却されます。
この書類は埋葬の手続きの際に必要になることが多いです。
改葬許可証
改葬許可証とは、既に埋葬されたご遺骨を別の場所に移す際に必要な書類です。
例えば、墓地の移転や墓じまいの際に必要になります。
この書類は、ご遺骨が埋葬されている自治体で発行することができます。
散骨を行う場合は上のような書類が必要になることがありますが、自治体や業者によって必要な書類は異なるため、直接自治体や業者に確認しましょう。
散骨をする際に準備しておくべきもの
いよいよ散骨式を迎えるにあたって悩むのが何を準備しておけば良いかということではないでしょうか。
ここでは、散骨式当日に必要な物や持って行っておくと安心な物を紹介していきます。
ご遺骨
まず絶対に必要なのがご遺骨です。
散骨業者に粉骨を依頼した場合は、散骨式当日までご遺骨を預かってもらう方もいますが、ほとんどの方が自宅で保管されます。
そのため、散骨式当日は自宅からご遺骨を持って行くことが多いです。
ご遺骨がないと散骨ができないので絶対に忘れないようにしましょう。
献花
海洋散骨や山林散骨では散骨後に献花を行うことが多いです。
最近は業者の散骨プランに献花用の花が含まれていることもありますが、それ以外に故人が好きだった花などを持っておくのもおすすめです。
献酒
散骨式では献酒を行うことも可能です。
散骨プランに献酒が含まれていることもありますが、故人が好きだったお酒を持って行くのもおすすめです。
ただし、色素が濃いお酒(赤ワインなど)やアルコール度数が高すぎるお酒は自然に悪影響を与える可能性があるので控えましょう。
手紙・折り紙
海洋散骨の場合、水溶性の紙であれば手紙や折り紙をお供えすることも可能です。
故人への気持ちを込めたお手紙や折り紙を一緒に送ることで故人を偲びましょう。
雨具
散骨を行う場所は山や海など天候が変わりやすい場所が多いです。
出発時には晴れていても帰りには大雨が降っているというようなこともよくあるので、折り畳み傘やカッパなどの雨具を持っていくようにしましょう。
防寒具
散骨を行う場所は山や海などは気温の変化も激しいので、防寒具を持っていきましょう。
故人が好きだったCD・DVD
海洋散骨では散骨時に故人が好きだった歌や映像を流してくれることがあります。
事前に散骨業者に確認して、歌を流すことが可能であれば故人が好きな音楽を流すのもおすすめです。
散骨をする際の注意点
散骨をする人は増えてきていますが、まだ細かなルールやマナーが定着しているとは言えません。
しかし、散骨にはいくつか知っておくべき注意点があります。
散骨を行う前にこの注意点を知っておきましょう。
粉骨をする
粉骨せずにそのままのご遺骨を撒くのは法律違反となってしまうので、必ず散骨前に粉骨を行いましょう。
粉骨は自分で行うこともできますが、精神的にも物理的にも厳しい作業なので業者に依頼するのがおすすめです。
散骨しても良い場所か確認する
特に個人で散骨をする場合は、散骨場所選びに注意しましょう。
地域によっては条例やガイドラインで禁止されていたり、許可が必要になったりする場所もあります。
まずは散骨したいと考えている地域の市役所などで相談して、その場所が散骨可能かどうかを調べましょう。
動きやすい平服で出席する
散骨式当日は喪服ではなく平服で出席するようにしましょう。
散骨場所は一般の方が生活している場所であることが多いので、喪服で出席すると住民が不安になってしまう可能性があります。
また、自然の中で行う散骨は散骨場所に適した服装をしていないと危険な場合も多いので、場所に適した服装で出席することも大切です。
自然に還るもののみを撒く
散骨は自然の中で行うため、お供え物をする場合には環境に配慮して行うことが大切です。
例えば、海洋散骨では茎を流さず花びらだけ撒く、山林散骨で食べ物を供える時は持ち帰るなどのルールを守るようにしましょう。
地域の条例やガイドラインに従う
散骨に関しての法律はありませんが地域によっては条例やガイドラインが定められていることがあります。
個人で散骨をする場合は、特に地域のルールを調べるようにしましょう。
まとめ
散骨をする際に法律的な手続きは必要ありません。
しかし、業者を通して散骨をする際には業者との手続き、墓じまい後に散骨を行う際には墓じまいの手続きが必要になります。
同じ散骨でも状況が異なると必要な手続きが変わってくるので注意しましょう。
必要な手続きや書類については業者や自治体に確認しておくと安心です。
ルールやマナーをしっかりと守って心に残る散骨式を迎えましょう。